ハリプンチャイ国立博物館

ランプーンハリプンチャイ国立博物館

タイ北部、ランプーンにある博物館「ハリプンチャイ国立博物館」Haripunchai National Museum のフォトギャラリーです。

かつては「ハリプンチャイ」と呼ばれタイ北部では王室都市としてもっと古く繁栄したランプーン。ピン川の支流のクワン川沿いの静かな街で、 タイ北部の主要都市チェンマイからはおよそ30km、車では30分ぐらいの所に位置します。

ハリプンチャイ国立博物館の1階、奥の方の様子。仏像を始め、いろいろと展示されてます。

このランプーンの町の中央付近に位置する王室寺院「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」のすぐ隣にある「ハリプンチャイ国立博物館」

本館と別館があり、本館には、ハリプンチャイ様式やランナー様式、ロッブリー様式の仏像や粘土焼き(テレコッタ)の仏像、ドヴァラヴァティ様式のスタッコ(Stucco)、その他砂岩の造形物や陶磁器、先史時代の発掘物等々、色々と展示されています。

ランプーン、特に有名どころのワット・プラタート・ハリプンチャイに訪れた時には、通りを挟んですぐ隣のこの博物館にお立ち寄りください。(開館日を事前にチェックしていきましょう。月曜日、火曜日はお休みですよ~)

では、早速ランプーンの歴史の旅に行ってみましょう。(^_-)-☆

【ハリプンチャイ国立博物館】博物館の外観の様子

ランプーンの有名な王室寺院「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」のすぐ隣に位置する博物館「ハリプンチャイ国立博物館」。名前も「ランプーン国立博物館」とかではなくて、かつての名前の「ハリプンチャイ」がついてますね。(ちょっとかっこいい)
ランプーンの有名な王室寺院「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」のすぐ隣にいちする博物館「ハリプンチャイ国立博物館」
訪れるときは、開館日を事前にチェックしていきましょう。月曜日、火曜日はお休みです。^0^)
外から見た時に見える博物館の塔(とでも言うのでしょうか)
小奇麗な庭で良い感じです。
月火はお休み。新年とソンクラーンの時期もお休みです。
博物館の塔
外から見た時に見える博物館の塔(とでも言うのでしょうか)
博物館内のお庭
小奇麗な庭で良い感じです。
開館日/閉館日
月火はお休み。新年とソンクラーンの時期もお休みです。

【ハリプンチャイ国立博物館】様々な仏像など

博物館内にはハリプンチャイ様式やランナー様式、ロッブリー様式の様々な仏像をはじめ、粘土焼き(テレコッタ)の仏像、ドヴァラヴァティ様式のスタッコ(Stucco)、先史時代の発掘物等々、色々と展示されています。

ハリプンチャイ様式の仏像の詳しい説明は見逃したのか見てませんが、全体的に人に近い、というか何か親近感のある雰囲気がするお顔立ちのように思います。
ランナー様式の仏像については、以下のように詳しく説明されてました。

  • ランナー様式の仏像について
    • 初期のランナー様式(チェンセン様式とも呼ばれる)は、1296年にチェンマイ(ランナータイ王国の)都が移される前までの仏像を代表している。
      最も初期と考えられているタイの仏像の年代が解決されていない。洗練された典型的な青銅の仏像は8世紀から12世紀のインド北部のパラ派(Pala)とセナ派(Sena)の影響をはっきり受けている。


    • ランナー様式の仏像の特徴としては、以下の通り:
      丸い顔、伏した目、円くはっきりした離れた眉毛、くっきりした鼻、小さく厚い唇、大きく丸まった蓮のつぼみのような巻き毛の髪、突き出たあごと強い体。


    • チェンマイがランナータイの中心となった後から16世紀にかけて、製作された仏像は後期チェンセン様式、またはランナー・チェンマイ様式と言われる。この様式はよりほっそりした顔立ちと体、腰のあたりまでかかるローブが特徴のスコータイ様式の影響を受けている。初期のものは低い台座、後期チェンセン様式はしばしば蓮の花弁で装飾された高い台座を伴う。
3つの世界を示す仏陀
天上界、現世、地獄の3つの世界を示す仏陀の像。
胴体と両の手は寺院「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」から、その他は別の場所から見つかっている。
粘土焼き(テラコッタ)の仏像 Terra - Cotta
ハリプンチャイ様式の仏像。12世紀後半から14世紀頃のもの。
3つの世界を示す仏陀
天上界、現世、地獄の3つの世界を示す仏陀の像。
胴体と両の手は寺院「ワット・プラタート・ハリプンチャイ」から、その他は別の場所から見つかっている。
粘土焼き(テラコッタ)の仏像
ハリプンチャイ様式の仏像。12世紀後半から14世紀頃のもの。
12~13世紀のハリプンチャイ様式の仏像。スタッコ(Stucco)とは建築材料らしい。
ハリプンチャイ様式のスタッコ
12~13世紀のハリプンチャイ様式の仏像。スタッコ(Stucco)とは建築材料らしい。
優しげな表情、頭が割れてしまってます。後ろに鏡がついていて、中の様子が見れるようになってますね。
ハリプンチャイ様式。10世紀から13世紀につくられたもの。
鏡のある仏像
優しげな表情、頭が割れてしまってます。後ろに鏡がついていて、中の様子が見れるようになってますね。
粘土焼き(テラコッタ)の小さな仏像
ハリプンチャイ様式。10世紀から13世紀につくられたもの。
ハリプンチャイ様式の仏像。12世紀後半から14世紀頃のもの。
ドヴァラヴァティ様式のスタッコ
ドヴァラヴァティ(Dvaravati)は6世紀から11世紀ごろに栄えたモン族の王国。
スタッコ(Stucco)とは建築材料らしい。
12世紀から14世紀のハリプンチャイ様式の銀の装飾。
粘土焼き(テレコッタ)の仏像
ハリプンチャイ様式の仏像。12世紀後半から14世紀頃のもの。
ドヴァラヴァティ様式のスタッコ
ドヴァラヴァティ(Dvaravati)は6世紀から11世紀ごろに栄えたモン族の王国。
スタッコ(Stucco)とは建築材料らしい。
金属装飾
12世紀から14世紀のハリプンチャイ様式の銀の装飾。
ハリプンチャイ様式の仏像
12世紀製作の仏像。印相(手の指の形)は中品上生です。
11世紀に製作されたロッブリー様式の仏像。ランナー様式とはお顔立ちなどが明らかに異なりますね。
ハリプンチャイ様式の仏像
12世紀製作の仏像。印相(手の指の形)は中品上生です。
ロッブリー様式の仏像
11世紀に製作されたロッブリー様式の仏像。ランナー様式とはお顔立ちなどが明らかに異なりますね。
博物館本館の奥の方の様子。仏像を始め、いろいろと展示されてます。
博物館内の様子
博物館本館の奥の方の様子。仏像を始め、いろいろと展示されてます。
17世紀から18世紀に製作されたランナー様式の仏像。
18世紀から19世紀に製作されたランナー様式の仏像。
目を開いたお顔が特徴的ですね。
ランナー様式
17世紀から18世紀に製作されたランナー様式の仏像。
ランナー様式パヤオ派
15世紀から16世紀製作の仏像。パヤオ派。
ランナー様式パヤオ派
15世紀から16世紀製作の仏像。パヤオ派。
ランナー様式
18世紀から19世紀に製作されたランナー様式の仏像。
目を開いたお顔が特徴的ですね。
  • パヤオ派は以下のように説明されています。
    ランナーの衰退は芸術の庇護の低下を招き、それにより地域の芸術活動や様式が発生した。1つの流派としてはパヤオであり、陶磁器産業の盛隆だけでなく砂岩の彫刻の独立一派が発達し、長い間平和を堅持し、パヤオは交易や産業の中心となった。
    パヤオは良質の砂岩に恵まれており、象はパヤオの彫刻家に人気のモチーフで、それらはスコータイを通してのスリランカの影響を示している。
16世紀から17世紀のランナー様式パヤオ派の造形。
台座を像が支えて、その上に仏像が台を支えているのでしょうか。
コッド・チャ・スィ (KOD-CHA-SI)
象の鼻とライオンの体を持つ想像上の動物。
17世紀から19世紀のランナー様式のセラミック造形。
砂岩の造形
16世紀から17世紀のランナー様式パヤオ派の造形。
台座を像が支えて、その上に仏像が台を支えているのでしょうか。
コッド・チャ・スィ (KOD-CHA-SI)
象の鼻とライオンの体を持つ想像上の動物。
17世紀から19世紀のランナー様式のセラミック造形。
19世紀から20世紀のランナー様式。年代的にはまだ新しいものですね。
19世紀から20世紀のランナー様式の細工物。
真鍮や銀の細工
19世紀から20世紀のランナー様式の細工物。
15世紀頃のランナーの陶磁器
銀細工
19世紀から20世紀のランナー様式。年代的にはまだ新しいものですね。
15世紀頃のランナーの陶磁器
ランナーの陶磁器は多くの窯から発見されていて、その中でも最も重要なのがウィアンカーロン(Wieng Kalong)、サンカムペーン、そしてパンの窯。
典型的な陶磁器は壊れやすいきめ細かい粘土で出来た白いもので、灰色と薄い緑のミックスした光沢があります。
サンカローク焼(左側)とベンチャロン(右側)
サンカローク焼 - Sangkalok Ceramics (左側)
14世紀から16世紀後半にかけてのスコータイアユタヤ時代に作られた陶磁器。2つの異なる場所の窯で作られている。
1) monochrome の窯: 白地に黒の模様を描かれたものがつくられた
2) シーサッチャナライの窯: 淡緑色や、黒色の模様、白の光沢、茶色の光沢、2色の光沢のもの等、高品質のものが作られた。
ベンチャロン (ベンジャロン) - Bencharong
17世紀から19世紀、アユタヤ時代の後半からラーマ4世の時代、5色、またはそれ以上の色のエナメルで絵付けされた磁器。
(古代サンスクリット語で「ベンジャ」は「5」、「ロン」は色)
中国の明の時代、特に第14代皇帝の万暦帝の時代には中国で人気で、景徳鎮や福建省、広東省から注文があったとか。
ベンジャロンはその卓越した手作りの技工や繊細さ、優美さより、王室で利用されていたようですね。.
ハリプンチャイ陶磁器
ハリプンチャイ陶磁器の製作年代は良く分かっておらず、もっとも古いものはインドのパーラ王朝の影響を受けていることから、9世紀から14世紀と考えられ、肩や首のところに線を持ち、丸いボディーに高い首、赤い色の装飾が特徴となっている。
ハリプンチャイ陶磁器
ハリプンチャイ陶磁器の製作年代は良く分かっておらず、もっとも古いものはインドのパーラ王朝の影響を受けていることから、9世紀から14世紀と考えられ、肩や首のところに線を持ち、丸いボディーに高い首、赤い色の装飾が特徴となっている。

ハリプンチャイ磁器には以下の2つの種類がある
1) 首の回りと器の肩に赤いラインの装飾をしている単純なもの
2) 器自身の特徴を利用して装飾されているもの
漆器 - lacquerware
粘土焼き(テラコッタ)の壺
12世紀から13世紀のハリプンチャイ様式のもの。
銀細工の敷物
19世紀から20世紀のランナー様式。比較的新しい時代のものですね。
漆器 - lacquerware
タイの漆器として最初のものはアユタヤ時代の作として知られ、現在でも(特にチェンマイで)作られている。
粘土焼き(テラコッタ)の壺
12世紀から13世紀のハリプンチャイ様式のもの。
銀細工の敷物
19世紀から20世紀のランナー様式。比較的新しい時代のものですね。
粘土焼き(テラコッタ)の仏像
10世紀から11世紀のドヴァラヴァティ様式の仏像
ドヴァラヴァティ(Dvaravati)は6世紀から11世紀ごろに栄えたモン族の王国
粘土焼き(テラコッタ)の仏像
10世紀から11世紀のドヴァラヴァティ様式の仏像
ドヴァラヴァティ(Dvaravati)は6世紀から11世紀ごろに栄えたモン族の王国
沢山の文字が並んでますね。ハリプンチャイの文字でしょうか?
これは何かな?
沢山の文字が並んでますね。ハリプンチャイの文字でしょうか?
19世紀から20世紀のランナー様式ベルマ派(Bermese ビルマ派?)の仏像。
全体のバランスやお顔に特長がありますね。
砂岩の造形
12世紀のハリプンチャイ様式の砂岩の造形。
色々な動物たちでしょうか。
金箔の仏像
19世紀から20世紀のランナー様式ベルマ派(Bermese ビルマ派?)の仏像。
全体のバランスやお顔に特長がありますね。
砂岩の造形
12世紀のハリプンチャイ様式の砂岩の造形。
色々な動物たちでしょうか。
ラーマ四世以前に使用されていたコイン
金や銀、アヘンを計るのに用いられた動物型の小さな分銅。19世紀から20世紀のランナー様式のもの。
先史時代の遺物
50万年から100万年前の先史時代の遺物も見つかってます。
昔のコイン
ラーマ四世以前に使用されていたコイン
動物型の分銅
金や銀、アヘンを計るのに用いられた動物型の小さな分銅。19世紀から20世紀のランナー様式のもの。
先史時代の遺物
50万年から100万年前の先史時代の遺物も見つかってます。
右に見える体は、昔の土器に見るような形ですね。
足輪は大人と同等かそれ以上に子供に付いて見つかってます。
腕輪(右)は小さな玉が中に入ったリングで装飾されてます。
どちらも失ろう法(lost wax process)によりつくられているとか。
土器に見るような造形
右に見える体は、昔の土器に見るような形ですね。
ブロンズの腕輪や足輪
足輪は大人と同等かそれ以上に子供に付いて見つかってます。
腕輪(右)は小さな玉が中に入ったリングで装飾されてます。
どちらも失ろう法(lost wax process)によりつくられているとか。
骨や鉄器などの発掘の様子。
鉄器は2,700年前から2,500年前ごろに使用されていた模様。
発掘された先史時代の骨が展示されてます。レプリカかな?
発掘の様子
骨や鉄器などの発掘の様子。
鉄器は2,700年前から2,500年前ごろに使用されていた模様。
発掘された骨
発掘された先史時代の骨が展示されてます。レプリカかな?

【ハリプンチャイ国立博物館】別館を忘れずに

本館一階を見て回った後は、隣の別館に行きましょう。
うっかり階段登り口を通り過ぎて帰ってしまうところでしたが、係の人に促されました。^-^;)
ランプーンに関連する写真たちが沢山掲載されてます
古代からハリプンチャイ、現代までの説明や、女王チャーマ・ティーウィーや仏教の説明などがされています。
ランプーンに関係する写真たち
ランプーンに関連する写真たちが沢山掲載されてます
ランプーンの説明
古代からハリプンチャイの時代、また現代までの説明や、女王チャーマ・ティーウィー、仏教の説明などがされています。
別館の様子。こちらは入って左側の様子ですね。
別館の様子。こちらは入って左側の様子ですね。
これは昔の船ですね。
こちらは昔のトイレのようです。こういった展示は珍しい...
これは昔の船ですね。 こちらは昔のトイレのようです。こういった展示は珍しい...
こちらはカーレー(kalae)と呼ばれる北タイの伝統的な切妻造りの屋根の上の飾り。
タイの寺院で良く見られる屋根の支え。タイ北部では、ナーガ(蛇神)が模様として彫られたりするので「ナーガ・タン」(Naga-Tan)と呼ばれます。
伝統的な屋根の飾り
こちらはカーレー(kalae)と呼ばれる北タイの伝統的な切妻造りの屋根の上の飾り。
屋根を支える飾り
タイの寺院で良く見られる屋根の支え。タイ北部では、ナーガ(蛇神)が模様として彫られたりするので「ナーガ・タン」(Naga-Tan)と呼ばれます。
2つの支柱の上に水平に渡されたブロックで、これはランナー様式のリンテル(Hamyonと呼ばれるようです)。単なる飾りではなく家を守るもの。
剣や、下には先史時代の石器。
リンテル(まぐさ石)
2つの支柱の上に水平に渡されたブロックで、これはランナー様式のリンテル(Hamyonと呼ばれるようです)。単なる飾りではなく家を守るもの。
剣など
剣や、下には先史時代の石器。
大砲 - というか、小さめの大砲です。
真ん中のライフルが異様に大きい
大砲
というか、小さめの大砲です。
ライフル
真ん中のライフルが異様に大きい

このハリプンチャイ博物館、それほど大きいというわけではないんですが、いろいろ説明を見れて来てよかったな~と思いました。
歴史とか好きな人は、時間があれば是非訪れた場所の博物館に足を運んでみてください。タイについてまた新たな発見があるかも知れません。(^◇^)

ハリプンチャイ国立博物館